ツール一覧 / AI活用ノート / 音声AIでナレーション作成|料金と商用利用条件を公式で確認
AI音声でナレーションを作るとき、無料プランの音声は納品に使えません。ElevenLabsやCoeFontなど主要サービスの料金と商用ライセンスの線引きを公式ページで確認し、日本語の文字数に換算して整理しました。
クライアントの動画に仮ナレを入れて、そのまま本番で使えるか確認しようとして手が止まる。音は十分きれいなのに、「これ、無料プランで作ったやつだ」と気づく瞬間です。
ここが一番詰まるところで、実は音質の話ではありません。
結論: 無料プランで作った音声は、ほとんどのサービスで納品に使えません。先に「商用ライセンスが何ドルから付くか」を確認してください。
- 月に数分だけ使う → 無料枠は商用不可。最安の有料プラン($6前後)から
- 毎週動画を納品する → 月$20前後の中位プラン。選ぶ基準は文字数
- 読み間違いを自分で直したい → 買い切りソフト、または無料のVOICEVOX
比較の軸は4つに絞りました。制作で請求が発生するときに、実際に効いてくる順です。
自然さを一番上に置かないのは、意図があります。上位が数か月で入れ替わる指標より、規約と単価のほうが見積もりに直接響くからです。
結論は「使えない」です。しかも「使えない」の中身がサービスごとに少し違います。
ElevenLabsのヘルプセンターは、無料プランについて「商用ライセンスを含まず、いかなる商用目的にも使えない」と明記しています。

さらに無料プラン(またはログインせずに生成した場合)で公開するなら、タイトルに「elevenlabs.io」または「11.ai」を入れることが条件です。クレジット表記が概要欄やエンドロールではなくタイトル、というのは正直かなり厳しい指定だと感じました。クライアント案件で通せる形ではありません。
CoeFontも線引きは同じ構造です。無料は非商用で、動画内に「Voiced by CoeFont.CLOUD」の表記が必要。有料プラン(Standard以上)では表記は不要になります。

解約後の扱いは、両サービスとも作り手に優しい側でした。ElevenLabsは「契約期間中に生成したものについては、解約後も永久に商用ライセンスを持つ」と書いています。CoeFontも「解約後も商用目的で使い続けられる」と明記。
1本だけの案件なら、1か月契約して作って解約、でも理屈は通ります。
ただし落とし穴が1つ。ElevenLabsの規約では、ベータ版の機能で生成した音声は商用利用も本番環境での使用も不可です。新機能に飛びついたときこそ、どの機能がベータ扱いかを確認したほうがいい箇所です。
ここが一番計算しにくいところです。ElevenLabsの単位は「クレジット」で、分でも文字でもありません。
公式の料金ページによると、Multilingual v2系のモデルでは1文字=1クレジット。つまり原稿の文字数がそのままクレジット数になります。
一方、映像ナレーションの文字数の目安は1分あたり250〜300文字。制作会社の解説では「ナレーションは1分に250〜300文字」が守るべき不文律と書かれていて、音声認識メーカーのコラムでも1分間スピーチは300文字を目安にと案内されています。
この2つを掛け合わせると、プランが現実の尺に変換できます。
| プラン | 月額(USD) | 月のクレジット | 日本語ナレーション換算 |
|---|---|---|---|
| Free | $0 | 10,000 | 約33〜40分(商用不可) |
| Starter | $6 | 30,000 | 約100〜120分 |
| Creator | $22 | 121,000 | 約6.7〜8時間 |
| Pro | $99 | 600,000 | 約33〜40時間 |
| Scale | $299 | 1,800,000 | 約100〜120時間 |
| Business | $990 | 6,000,000 | 約333〜400時間 |
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※2026-10-02時点の公表価格。換算は1文字=1クレジット、250〜300文字/分として計算した概算です。モデルによってクレジット単価は変わります。
英語圏向けの「10,000クレジット=約10分」という説明と、この表はずれます。日本語は1文字あたりの情報量が多いので、同じ文字数でも尺が3倍前後になるためです。
これは日本語で使う側に有利な方向のずれで、地味に見落としやすい点だと思います。
年払いにすると10か月分の支払いになります。Creatorなら実質で月$18台。毎月必ず使うなら年払いのほうが素直です。
使い切れなかったクレジットは、公式ドキュメントによると最大2か月分まで翌月に繰り越せます。ただしダウングレードや解約をすると繰り越されません。
Trustpilotのレビューには「動画1本作っただけでクレジットが消えた」「解約でクレジットを取られた」という不満の書き込みがありました(評価は3.1、1,168件時点)。繰越と解約のルールを知らずに踏むと、たしかにそう感じる設計です。
ブラウザの画面ではなくAPIで流す場合、公式のAPI料金ページは1,000文字あたりの単価で出ています。クレジットとは単位が違うので、直接比べられません。
| モデル | 1,000文字あたり | 備考 |
|---|---|---|
| Eleven v4 | $0.022 | 10月12日まで72%オフ。通常$0.08 |
| Eleven v4 Turbo | $0.011 | 通常$0.04 |
| Eleven v3 | $0.08 | — |
| v3 Conversational | $0.04 | — |
| Multilingual v2 | $0.08 | — |
| Flash / Turbo | $0.04 | — |
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※2026-10-02時点。割引は期限付きです。
5分のナレーション原稿は1,500文字前後。v4の通常価格で計算すると、1本あたり$0.12ほどです。ランチ1回より安い。
見積もりを作る側として気になるのは、この72%オフが10月12日で切れることです。期間限定価格で社内の原価表を作ると、2週間後に崩れます。通常価格で計算しておくのが安全です。
ほかのクラウドサービスも並べておきます。
| サービス | 料金(2026-10-02時点) | 無料枠 | 商用の条件 |
|---|---|---|---|
| Amazon Polly | 100万文字あたり Standard $4 / Neural $16 / Generative $30 / Long-Form $100 | Standard 500万文字/月(継続)、Neural 100万文字/月(最初の12か月) | AWSの利用規約に従う |
| OpenAI TTS | 100万文字あたり tts-1 $15 / tts-1-hd $30。gpt-4o-mini-tts は音声出力100万トークン $12 | 公表なし | APIの利用規約に従う |
| Azure AI Speech | 料金は公式ページで最新をご確認ください | Neural 月50万文字(F0) | Microsoftの条件に従う |
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Amazon Pollyの料金ページを見る(aws.amazon.com)
Pollyの表を見て意外だったのは、Long-Formが100万文字$100で、Generativeの$30より高いこと。「長い原稿向け」のほうが高いので、オーディオブック用途だと一気に効いてきます。
安さだけならPollyのStandardが圧勝です。ただしStandardは旧世代の合成音で、ナレーションとしての表現力は別の話になります。
音が自然かどうかより、固有名詞を正しく読めるかのほうが実務では重い。これはAI音声に限らず、合成音ナレーション全般の問題です。
Yahoo!知恵袋には「YouTubeのナレーションで時々漢字の読み間違いをするのは読み上げソフトですか」という質問があり、「正念場」が別の読みになっていた例が挙げられています。回答は「おそらくその通り。機械合成の音声を使っている人は多いですよ」。2026年の最新モデルの話ではありませんが、聞く側が引っかかるポイントが何かはよく分かります。
ElevenLabsの発音ドキュメントを読むと、直す手段は用意されています。TXTまたは.PLS形式の辞書ファイルをアップロードして、繰り返し出てくる用語の読みを固定できる仕組みです。
ただし制約が明記されていて、ここが面倒です。フォネームタグ(発音記号の指定)は単語単位でしか効かず、姓と名の両方を指定したいなら2つに分けて書く必要があります。
さらにタグの対応モデルが限られます。旧来のXML形式のタグはeleven_flash_v2のみ対応で、Eleven v4ではスラッシュで囲んだIPA記号を解釈する方式に変わっています。モデルを乗り換えると、作った指定が効かなくなる可能性がある構造です。
モデル側は進んでいます。公式のモデル一覧では、Eleven v4とv4 Turboが90以上の言語に対応し、日本語も含まれています。2026年9月28日の発表記事では、ブラインドテストで約75%の人がv4を選んだ、IPA対応を改善した、音声クローンが10秒の音声で作れるようになった、と書かれています。
一方Trustpilotには「音声クローンで使える結果が出たことが一度もない」という投稿もありました。公式の主張とユーザーの体感には、まだ幅があると見ておくほうが安全です。
自然さを横並びで比べたいなら、Artificial Analysisの投票式アリーナが公開されています。3秒以上聞いて好きなほうに投票する仕組みで、結果は時期によって動きます。
毎月の支払いが乗るのを避けたい案件もあります。受託で1本きり、というケースです。
無料で商用まで通るのはVOICEVOX。公式トップに「商用・非商用問わず無料」と書かれていて、Windows / Mac / Linuxに対応します。

ただし条件が2つ。利用規約には「VOICEVOXを利用したことがわかるクレジット表記が必要」とあり、さらに「作成された音声を利用する際は、各音声ライブラリの規約に従ってください」と書かれています。
キャラクターごとに別の規約がある、という点は見落とさないほうがいいところです。全体の規約だけ読んで納品すると踏みます。
買い切りならVOICEPEAK。ナレーター6種セットのダウンロード版が税込¥23,800で、商用・業務利用が可能、しかも「当社にご連絡なくご利用頂けます」と明記されています。

ざっくり言えば、月$22のプランを1年続けると買い切りソフト1本とだいたい並びます。クローン音声や多言語吹き替えが要らず、日本語ナレーションだけを安定して出したいなら、買い切りの計算が合う領域です。
逆に、案件ごとに声を変えたい・英語版も作る、という前提ならクラウド側に寄せたほうが早い。ここは好みではなく、案件の形で決まります。
Q. 無料プランで作った音声を、後から有料プランに入れば商用で使えますか
A. ヘルプセンターの記述は「契約期間中に生成したもの」に商用ライセンスが付くという書き方です。無料期間に作ったファイルを遡って商用化できる、とは書かれていません。有料にしてから生成し直すのが確実です。
Q. 自分の声をクローンして、ナレーションに使っていいですか
A. 自分の声なら権利の問題は起きにくいです。ElevenLabsの規約は、アップロードする音声について「必要な権利をすべて持っていないものは提供できない」としています。他人の声は本人の許可が前提です。
Q. 無料枠だけで足りる場合はありますか
A. 社内の確認用や仮ナレ、個人の非商用作品なら足ります。VOICEVOXはクレジット表記とキャラ別規約を守れば商用でも無料です。請求が発生する案件で、表記を入れられないときだけ有料を検討すれば十分です。
規約の細かいところを2つだけ補足します。
ElevenLabsの利用規約では、生成物について「あなたとElevenLabsの間では、あなたがOutputのすべての権利を保持する」と書かれています。ただし同時に、サービス側がコンテンツを利用・複製・改変できる広いライセンスも設定されています。守秘義務のある案件では、ここを読んでから判断する領域です。
前払いで購入したクレジットは「譲渡・販売・再許諾できない」と規定されています。チーム内で使い回す設計を考えるなら、Workspaceのシート(Scaleで3席、Businessで10席)側で組むことになります。
価格・条件はすべて2026-10-02時点の公表値です。期間限定の割引が入っている項目があるため、見積もりには通常価格を使うことをおすすめします。