ツール一覧 / AI活用ノート / AI翻訳の違い|DeepL・ChatGPT・Geminiで英語LPを訳す
英語のランディングページを日本語にするとき、DeepL・ChatGPT・Geminiのどれを使うかで詰まる場所が変わります。誤訳の分類、用語集の上限、入力テキストの行き先を公式情報で整理しました。
海外SaaSのLPをそのまま日本語化してほしい、と言われる。原文は英語のHTMLで、ボタンのラベルも価格表も全部入っている。まずどこに貼るか、で手が止まります。
結論: 訳す前に「何が壊れると差し戻しになるか」を決める。ツール選びはその後。
- 用語を固定したい/量が多い → DeepL(ただし用語集の上限を先に確認)
- 体裁やトーンを指示で直したい → ChatGPT / Gemini
- 客先の未公開原稿を扱う → 無料版に貼らない。ここだけは先に決める
この章で言いたいのは1つです。検収で返ってくるのは、意味の取り違えより見た目の崩れのほうが多い。
日本翻訳連盟(JTF)が公開している「翻訳品質評価ガイドライン」を読むと、エラーの例示がやけに具体的です。ボタンの原文が「Download」なのに訳文が「ダウンロー」で切れている。原文の Click the <b>File</b> button. が、訳文では ファイルボタンを<b>クリック</b>します になってタグの位置がずれている。
つまり、ガイドラインが想定している「産業翻訳の事故」と、Web制作者がLPで踏む地雷は、ほぼ同じ場所にあります。ここを先に押さえずにツールを比べても、比べたことになりません。
DeepLは翻訳するために作られた仕組みで、ChatGPTとGeminiは文章を書く仕組みに翻訳をさせています。ここが全部の違いの根っこです。

DeepLは公式ページで、テキスト翻訳のほかにPDF・Word・PowerPointの文書翻訳、用語集、API提供を挙げています。入力に対して訳文が1つ返る。会話でやりとりする画面ではありません。


こちらは「敬体で」「40字以内で」「HTMLタグは触らずに」と条件を足せる。そのかわり、同じ原文を2回投げて同じ訳が返る保証はありません。
学会のほうでも同じ結論が出ています。機械翻訳の国際会議WMTの2024年大会は、一般翻訳タスクの報告に「LLMの時代は来たが、機械翻訳はまだ解決されていない」という題を付けました。8種類の大規模言語モデルと4つのオンライン翻訳サービスの訳文を集め、専門の評価者が誤りの範囲を印していく方式で調べた結果です。
同じ会議で発表された独→英の比較研究には、もう少し踏み込んだ記述があります。翻訳品質と一貫性では従来型の翻訳エンジンがLLMをおおむね上回る。いっぽうで、その訳文は「訳したもの」だと機械的に見分けられやすい、と。日本語で同じことが起きるとは言い切れませんが、DeepLの訳が正確なのに妙に翻訳調に感じる場面の説明にはなっています。
JTFのガイドラインは、翻訳の誤りを7つのカテゴリーに分けています。この分類がそのままチェックリストになります。
| 誤りの種類 | LPで出る形 | 出やすいのは | 直し方 |
|---|---|---|---|
| 抜けと余分 | 段落が丸ごと消える/原文にない一文が増える | 生成AI側 | 原文と訳文の段落数を数える |
| 未翻訳 | 英語が残る | どれも | 英字の残存を検索で洗う |
| 用語不統一 | 同じ機能が2通りの訳語に | DeepL・生成AIとも | 用語集かプロンプトで固定 |
| 指定スタイル違反 | 敬体と常体の混在 | 章ごとに分けて訳したとき | 全文をまとめて訳す |
| マークアップ誤り | 強調タグが別の語に付く | HTMLを直接投げたとき | タグ保持の設定を使う |
| 地域慣習 | $ や Jan 21, 2017 が残る | どれも | 訳す前に置換ルールを決める |
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App Storeの日本向けページでDeepLアプリのレビューを見ると、評価は高い(4.7/約34,000件)いっぽうで、「テキストを訳すと勝手に文を作り、原文の一部を消してしまう」という指摘が投稿されています。これは表の1行目そのものです。「代名詞が男性に既定されてしまう」という声もありました。
正直に言うと、この「抜けと余分」が一番たちが悪いと思います。訳文だけ読むと日本語として完結しているので、原文と並べない限り気づけない。
クライアント側に「Workspace は『ワークスペース』で統一」といった指定があるなら、この章が本番です。
DeepLには用語集があり、公式の日本語プラン比較ページに上限が書かれています。2026年9月30日時点の表示は次のとおりです。
| プラン | 月額(年払い換算) | 月間文字数 | 用語集 |
|---|---|---|---|
| 無料 | 0 | 5万文字 | — |
| Individual | €7.49 | 30万文字 | 1個・用語5つまで |
| Team | €24.99/ユーザー | 100万文字/ユーザー | 5個・用語1,000まで |
| Business | €49.99/ユーザー | 制限なし | 制限なし |
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個人で契約する一番安いプランの用語集は、1個・用語5つまで。これは実務で使う数ではありません。用語表をもらってDeepLで回すつもりなら、実質Team以上が前提になる——ここは地味に見落としがちで、月額の桁が変わります。
生成AI側に用語集という機能はありませんが、プロンプトに用語表を貼れば同じことができます。無料枠でも通ります。そのかわり、長い原文の後半で指示が薄れることがあるので、章を分けて投げる運用になります。
なお、DeepLのAPIならHTMLをそのまま渡せます。tag_handling=html を指定すると構造からテキストだけ抜いて訳し、元の構造に戻す。訳したくない要素には translate="no" 属性か class="notranslate" を付けます。ひとつ注意があって、タグ処理は2025年12月1日より前から使っているアカウントは旧版が既定のままなので、改善版を使うには tag_handling_version=v2 を明示する必要があります。
ここだけはツールの好みの話ではありません。先に決めておく話です。
DeepLの個人情報保護方針には、無料版について「ニューラルネットワークと翻訳アルゴリズムの訓練および性能向上を目的として、入力済みのテキストおよびアップロード済みの文書ファイルとそれぞれの訳文……を一定期間保存します」とあります。Pro版は「送信済みのテキストやアップロード済みの文書ファイルは永続的に保存されず」「サービスの向上を目的としてお客様のテキストを使用することはありません」。
Pro版の利用規約には「契約者が本サービスを利用して行った翻訳について、DeepLはいかなる著作権も有しません」とも書かれています。納品物に使う前提なら、ここは確認しておく一文です。
Geminiは、履歴を残す設定がオンだと一部の会話がGoogleのサービス改善のために人の目でレビューされ、レビューされた会話は最大3年保持されると公式ヘルプに記載があります。設定をオフにすると、会話は72時間で削除されます。ChatGPTのデータの扱いも設定で変えられるので、こちらは提供元の公式ページで最新をご確認ください。
要するに、無料版は「学習に使われる代わりに無料」という設計です。ずるいわけではなく、そう書いてある。自分の勉強用の記事を訳すなら何の問題もないし、他社のNDA付き原稿を貼るのは筋が違う。この線だけ引いておけば迷いません。
分け方の基準は3つに絞りました。①用語を固定する必要があるか ②訳文の体裁を自分で指示して直したいか ③原稿を外に出していいか。この順で見ます。
料金を時間に置き換えると判断しやすくなります。Google OneのAI Plusは月1,450円、AI Proは月2,900円(2026年9月30日時点、公式のプラン一覧より)。LP1本の和訳で用語の直しに30分かかっているなら、月に何本訳すかで元が取れるかが決まります。月1本なら、正直どのサービスも無料枠で十分です。
そして、どれを使っても原文と訳文を並べる工程は消えません。WMT24が題に「まだ解決されていない」と入れたのは、そういう意味だと読んでいます。
Q. DeepLの無料版とChatGPTの無料版、訳の質はどちらが上ですか。 原文の種類で変わるので、一方が上とは言えません。独→英の比較研究では、品質と一貫性の面で従来型の翻訳エンジンが優位という結果でした。日本語で同じとは限らないので、自分のLPの1段落を両方に通して見比べるのが確実です。
Q. HTMLをそのまま貼っていいですか。 DeepLのAPIならタグ処理の指定ができますが、Webの画面にHTMLを貼るとタグが崩れることがあります。訳す前にタグを外し、訳し終えてから戻すほうが事故が減ります。
Q. 訳文をそのまま納品してもいいですか。 DeepLはPro版の利用規約で、利用者が行った翻訳に著作権を主張しないと明記しています。他のサービスも提供元の規約に記載があるので、納品前にそこを確認してください。